インタビュー

 僕は、カッフェの一室で、とある女性雑誌の取材を受けていた。この雑誌は、ファッションだけでなく、恋愛だとか、セックスだとか、そういったところまで扱っている雑誌である。僕はこの手の雑誌をあまり読まないが、何でも、好きな女の子のタイプだとか、恋愛感だとか、普段どんな私服を着ていて、どんなデートがしたくてなどといったところまで深く掘り下げて聞いてくる。取材が始まって三時間が経とうとしているのだが、まだ止む気配はない。
「芥川さんは、ブリーフ派ですか? トランクス派ですか? ボクサー派ですか? それともやっぱり褌派ですか?」
赤味がかったベージュに染めた髪を緩く巻いている、まだ若い女性編集者は、興味津々で聞いてくる。
「はい?」
流石に、普段穿いている下着の種類まで聞かれたのには、閉口した。何故そこまで聞く必要があるのだろうか。そもそも下着というのは、その人の深層心理である。普段人には絶対に見せない、見せるとしても心から信用できる人のみだ。そのことを何故、初めて会ったばかりの女に、包み隠さず話さなければならないのだろうか。これが逆の立場ならと、考えたことはあるのだろうか。逆にこちらが女に対し、何色のパンツを穿いているのか聞きたいぐらいだが、やめておいた。
「因みに谷崎さんはブリーフ派でしたね。グンゼの白ブリーフをご愛用とのことでした」
谷崎潤一郎が何を穿いているかなど、別に知りたくもない。それなのに、答えずにいると勝手に話したがる。僕はこの女に、何処か嫌悪の意識を持たずにはいられなかった。
「ねぇ、芥川さん、芥川さんってばぁ~」
物欲しそうに聞いてくる編集者に対し、更に不快感は募る。一体どう言えば、彼女は納得してくれるのであろうか。
「ボクサーブリーフが多いが、トランクスも穿く。余程奇抜なものでなければ、こだわりはない」
僕はそう答えた。


龍之介の現代ネタでやってみました。
●谷崎潤一郎はブリーフ派だと思う。
●芥川龍之介は絶対にブリーフ派ではない!
●『○n・an』などの女性誌では、定番といっても良いほどの質問だし、龍之介が今いたら絶対に聞かれていると思う。
●だが、龍之介は、こういった質問を嫌いそう。
こんなちょっとした妄想から、これを書きました。
龍之介ネタですが、創作なので、WORDSに掲載しました。
龍之介は今いたらボクサー派だと思うが、トランクスでもいいな。どちらにせよ、黒・紺・グレー系統で、無地やシンプルなものを穿いていると思います。
(2012年11月29日)

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