文士戦隊タバタンジャー
緑・室生犀星。
「芥川が心配だ……」
青・萩原朔太郎。
「そんなことはどうでもいい」
黄色・菊池寛。
「アクタ、お金に困ってるようだね」
ピンク・佐藤春夫。
「何故俺がピンクなんだ!? せめて黄色にしてくれ」
(しょうがないじゃないか、この話に女子が出てこないんだし……)
そして、赤。我らがリーダー、芥川龍之介!
「リーダーを任されたからにはやるしかないようだね。文士戦隊……」
「タバたんじゃ……ぁ?!」
全員が叫ぶ。だが、ばらばらであった。いきなり幸先の悪いスタートである。
タバタンジャーの敵は、いっぱいいる。それを龍之介はひとつひとつメモにリストアップしていた。
すぐそこを通りかかったのは、先輩文士の徳田秋声である。
「芥川くん、印税を独り占めするなんてひどいじゃないか~! その印税でデカイ書斎なんか作っちゃって」
秋声は龍之介と目が合うが早いか、そう言い放った。
「何だと! 芥川はそんなことしてないじゃないか! いくら同郷の先輩でも許さないぞ!」
犀星はつっかかろうとする。
「やめなよ、室生。徳田さんだって……」
朔太郎はなだめる。
「まあまあ、徳田さん。落ち着いてください。これあげますから」
龍之介は懐から、百万円の束を取り出し、それを秋声に渡そうとする。
「アクタ、そこまでしなくてもいいだろ。オマエだってそんなにお金持ってないじゃないか」
菊池寛は止める。
「菊池くん、何故止めるんだ! こうすればことは円滑に進む。菊池くん、いつも言ってるじゃないか。世の中は金だよ、金って。金さえあれば……」
「それとこれは違うだろ! 第一この件は金で何とかできる問題じゃない。それを知っているのはアクタ自身じゃないのかい!?」
「いや、それは違うね」
「いや、金で解決できない!」
「金!」「違う!」
龍之介と寛は言い争っている。
「おい、芥川。徳田さん帰ったぞ」
龍之介と寛の言い争いを止めるかのように、犀星が言う。
「え……」
龍之介は呆然とした。倒すべき敵の姿はそこにはなかったのである。
「龍ちゃんと菊池くんの言い争いがあまりにもつまらなかったんだって」
朔太郎が、付け足すように言った。
「畜生! 死んでやる!」
龍之介は、睡眠薬と水を取り出し、飲もうとする。
「アクタ、やめろ!」
全員が止めるのに必死だった。
一方、ひとり離れた場所では。
「俺の出番がなかった……」
呟く佐藤春夫であった。
15分くらいでバーッと書きました。
田端文士村では龍之介がリーダー格、犀星がサブリーダー格だったので、それを生かして何か書きたいと思っていましたが、こんな形でごめんなさい。『タバタンジャー』シリーズ、また書くかもしれないです。
(2013年05月14日)